愛を伝えたいだとか

この朝の光景は、どこか健全すぎるほどだ。揺れるカーテンから差し込む太陽、少し乱れた髪、フライパンで割れた目玉焼き、それでも美味しい。今日はごく普通の1日になりそうで、つまり、悪くない1日になりそうだ。この平凡さを背景に、夢は不条理なほど美しく見える。バラを手に踊り、「愛してる」と、下品に聞こえず、心からそう思うように言うこと。

しかし、現実は頑なにその存在を思い出させる。油まみれのTシャツ、ジーンズ、自分の思考に簡単に溺れてしまいそうなソファ。まるで「映画に出てくる理想の男性」になりたいような気もするが、理想的な人物は誰にも興味を持たれないという笑い話を思い出す。するとすぐに気が楽になる。ありのままの自分でいられるのだ。不器用で、滑稽で、少し感傷的であっても。重要なのはバラやキャンドルではなく、夕暮れ時の出会いであり、ごく普通の1日が贈り物になる瞬間なのだ。