ハローチョ節

ソン・ハロチョ（son jarocho）は、メキシコ東部で生まれた、伝統的なメキシコ音楽の中でも最も特徴的なジャンルの一つです。スペイン、アフリカ、インディアンのリズムが絡み合っています。ソン・ハロチョは、その鮮やかで踊りたくなるようなエネルギーと即興の精神で知られています。そのため、民俗祭や街頭パフォーマンスに欠かせない存在となっています。世界の音楽シーンでは、エスニックおよびフォークロアジャンルのニッチを占め、ラテンアメリカのポピュラー音楽の発展に大きな影響を与えています。

音楽的には、ソン・ハロチョは弦楽器を中心に構成されており、その中心となるのは、5組の弦を持つ小さなギターであるハラナです。これに加え、レキント（高音域の伴奏楽器で、多くの場合ピックで演奏される）と、深みとリズムの基盤を与えるハローチャのハープ、そしてザパテアード（木製の台の上で足を踏み鳴らすリズムで、ダンスであると同時にパーカッションの役割も果たす）が演奏に加わる。ボーカルは即興的な性格を帯びることが多く、歌詞は詩的、ユーモラス、あるいは風刺的であり、詩的な「デシム」の形で歌われます。

ソン・ハロチョの起源は、ベラクルスがニュー・スペインの主要港の一つであった17～18世紀にまでさかのぼります。この港は、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを結ぶ交易路の要所でした。アフリカの奴隷たちはリズミカルな構造と打楽器の要素を持ち込み、スペインの植民者たちはハーモニーとクプレの歌の形式をもたらしました。地元の民族は、独自の旋律的特徴と詩的伝統を加えました。世紀の終わりまでに、ソン・ハロチョは、東メキシコ全域に広がり、鮮明な地域色を持つ独立したジャンルとなりました。20世紀半ば、ラジオ放送やアンサンブルの最初の録音のおかげで、ソン・ハロチョはメキシコ人のアイデンティティの象徴として認識されるようになりました。

やがてこのジャンルは、メキシコ国内だけでなく国外でも認知されるようになりました。国際的なメディアや民族音楽学の研究は、21世紀においてもその重要性を維持している持続的な民俗的慣習の例として、ソン・ハロチョに注目しています。今日、ソン・ハロチョは単なるジャンルではなく、世代や地域を結びつける文化的現象として認識されています。